そろばんの計算が速いわけ
そろばんを習うことで計算力がつく・・・というのはご存知の方は多いかと思いますが、そもそもなぜそろばんを身につけることで計算が早くなるのでしょうか?
もちろん、習い事として通うことで「たくさん練習するから」というのは理由の一つですが、それだけなら計算問題をたくさん練習すればいいだけです。
普通の計算方法
そろばんを使わない計算を、「普通の計算」と記事の中では書かせていただきます。
この普通の計算では、どのように計算しているでしょうか?
小学生の算数で習う計算方法とは、「筆算」が基本です。そしてこの筆算はどうやって計算しているのかというと、1桁の計算の積み重ねです。
小学1年生の頃に、「1+1=2」「7+3=10」「5-2=3」といった計算カードをたくさんやった覚えがあるでしょうか?結局は、この1桁の計算が基礎となり、桁数が増えるとそれを連続して計算し積み重ねていくのです。
つまり普通の計算で脳内でしていることとは計算して数を数えるというよりも、この計算カードのような1桁の計算を丸暗記したものを脳内メモリーから呼び出してノートに書き留め、それを繰り返しているのです。
そろばんの計算方法
これに対して、そろばんの計算では珠(たま)を動かすだけで計算しています。脳内メモリーから呼びだすというプロセスなく、珠を動かして手元のそろばんに計算結果をメモリーします。なので、珠の動かし方、繰り上げ・繰り下げ方といった技術さえ身につければ素早く計算が出来てしまうのです。(※掛け算・割り算では九九を覚える必要があります)
筆算では書かなければならない手間が、そろばんでは簡略化されるのも速い理由ですね。
計算が遅い子は脳内で音声変換している
普通の計算では、1桁の計算の暗記が十分でない子、メモリーから呼びだすのが慣れていない子は、計算問題を一旦脳内で音声変換しています。つまり、
問題を読み取る ⇨ 音声変換 ⇨ 1桁の計算結果を脳内メモリーから呼び出す ⇨ 音声変換する ⇨ 文字変換する ⇨ 答えを記入する
というプロセスが行われていますが、音声というのは時間です。僅かな時間ではありますが、積み重なっていくと、それが大きな時間になります。これが、遅くなる理由の一つです。
これに対して、そろばんの計算はというと、まだ始めたばかりの子は問題を脳内で音声変換しながら珠を動かしています。しかし、次第に問題を珠のイメージに変換していく様になります。このイメージ変換は瞬間的に行われますので、ほとんど時間ロスがありません。
暗算になってくると
そろばんの計算は、そろばんという道具を使っているから速くて当然だ、と思うかもしれません。しかし、そろばんの真価というのは、「そろばんを使わない」事にあります。つまり暗算です。
普通の計算では、暗算が苦手な方も多いかと思います。テストでは、筆算を空いているスペースに書きながらして、時間がかかってしまう事も多々あるかと思います。
これに対して、そろばんの暗算とは、脳内のそろばんを使って計算します。つまりそろばんの練習をしていると、次第に脳内にそろばんのイメージがインストールされていき、そろばんがなくてもこの仮想のそろばんで計算ができる様になります。
そのレベルに達すると、もはや物理的なそろばんを使わなくても、素早く正確な計算ができます。普通の計算と比べて、遥かに高い計算力を身につける事になります。
右脳と左脳
計算をする時というのは、普通の計算とそろばんの計算では、脳内で使用している部位が異なると言われています。
普通の計算は左脳で計算しています。
左脳というのは、論理的な思考を司る部位で、テキスト情報の処理などはここで処理されています。普通の計算は、暗記したテキスト情報を呼び出して処理しているようなものですので、この左脳で計算しています。
これに対して、そろばんの計算は右脳で計算しています。
右脳というのは、直感的なイメージを司る部位で、画像処理や直感、想像、創造力といった思考を処理しています。
そろばんは、珠の配置、動きをイメージで捉えて計算していますので、この右脳で計算しています。
そしてこの右脳と左脳では、処理能力においては、画像情報を扱う右脳のほうが圧倒的に高いと考えられています。つまり、処理能力という意味でも、そろばんの方が計算は速いのです。
パソコンに詳しい方なら、左脳はCPU、右脳はGPUだとイメージしたらわかりやすいかと思います。CPUは複雑な論理的計算をするのは得意ですが、画像や動画を扱うにはGPUは圧倒的に処理能力が高いのです。そしてこれからの人工知能やWeb3.0といったIT技術を支えるのが、このGPUです。
未来の人類に求められるのは右脳の力
人工知能やロボット化、自動化が進む社会では人間の仕事がそれらに奪われてしまうと言われており、大きな格差を生み出すとも言われています。
常に社会が変化する中では、人間もそれに適応するように、人間に求められるものが変化します。
そしてそれこそこれからの時代、求められるのは右脳の力であると言われています。
つまり、直感力、創造力といったセンスが求められる部分です。これはそう簡単に機械に代替出来るものではありません。
そろばんは、右脳で計算をすることから、右脳のトレーニングになります。
そろばんによって右脳を鍛えることは、ただ計算が速くなるだけでなく、将来において可能性を切り開く力に結びつくと考えています。
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